横向き、後ろ向きではなく、前向きに

2024年3月17日の東京都社会人チャンピオンシップ（東京カップ）2次戦準決勝、南葛SCはSHIBUYA CITY FCを下し、2次戦決勝へと駒を進めた。90分間では決着がつかず、PK戦にもつれ込む難しい展開となったこの一戦。1回戦に続きフル出場した長島武（静岡産業大学より新加入）は、ピッチ内で感じたことをこう振り返る。

「相手が前からプレッシャーに来ていたとはいえ、JFL（日本フットボールリーグ）昇格という目標の達成を見据えると、ああいうプレスをしっかり剥がせるようにならなければいけないと感じました。また、最初からプレーの選択肢が“後ろ”だと、相手は勢いに乗ってボールに向かってきます。だからこそ、もっと“前”に向かうプレーを増やさなければいけなかったし、自分たちの時間を作り、いいリズムで試合を進められるようにならないといけない。ただ、序盤は『ボールを取られないように』という思いが頭をよぎってしまって」

横向き、後ろ向きのプレーが増えつつあったチームに、前向きの勢いを与えたのが佐々木達也だ。推進力を武器とする背番号17は、前半38分に投入された1回戦に続き、この日も前半32分という早いタイミングでピッチに送り込まれる。風間八宏監督からは、「サイドに張らずに、しっかりボールを受けるように」と声をかけられた。

「もっとリラックスして、もっとみんなが顔を出せれば、練習どおりのプレーができると思っていました。僕らは普段からフォーメーションを気にしていません。先日の試合も、ボールを持っている選手に対して、一人ひとりが顔を出してパスを受け続けていたら、だんだんみんなの距離感がよくなっていって、コンビネーションで前を向いたり、前を向いている選手をうまく使えるようになってきた。決して多くはありませんでしたが、何度かはいいシーンが作れたと思っています」

45＋1分には、セットプレーのこぼれ球に素早く反応し、豪快なボレーで相手ゴールをこじ開けた。佐々木は笑顔で振り返る。

「思い切り蹴っただけだったので、あんなふうにシュートが決まり、僕自身も本当にびっくりでした（笑）。でも、南葛SC加入後初ゴールをああいう形で決められてよかったです」

風間監督がミーティングで述べたこと

3月24日、東京カップ2次戦決勝は赤羽スポーツの森公園競技場で行われる。対戦相手のエリース東京FCは、立教高校サッカー部を中心に1970年に設立された歴史と伝統のあるクラブだ。昨季は関東サッカーリーグ2部を制覇。18試合を戦って15勝1分2敗、2位ヴェルフェ矢板に勝ち点9差をつける独走で、今季からの関東リーグ1部昇格を決めている。

2次戦準決勝を振り返るため、風間監督は試合翌々日にミーティングを実施。評価できる部分とともに、今後に向けての課題や伸びしろについて触れた。そこで改めて整理したのが、ボールを止める技術の質と、前に向かう意識の重要性である。佐々木が言う。

「練習でやっていることを考えると、ここ2試合はできなかったことのほうが多かったと感じます。ミーティングでも挙がったように、止める・蹴るや前を意識することは、監督が言うとおりもっともっとやれると思っています。ボールをしっかり止められれば、相手の動きも止めることができる。試合中であっても、目の前の相手が止まった瞬間というのはわかるんですよね。それを100％の確率でできれば、一人ひとりのプレーもチーム全体のプレーももっと速くなりますし、それらの積み重ねが相手を困惑させるようなプレーにつながっていくのだと思っています」

風間監督のアプローチについて、冒頭でも述べたように、長島はいま一度プレーの方向について口にする。

「ミーティングを通して、前回の試合では最初の選択肢が後ろ向きになっていたことを改めて実感しました。試合の中で、どれだけ前にボールをつけられるか、パスを出したあとにどれだけ（ボールのあるエリアに）潜っていけるか、相手にどれだけ仕掛けていけるか。普段の練習でやっているプレーを発揮することでチームはよりよくなっていくと思うし、決勝では積極的にチャレンジしていきたいと思います。チームとしては東京カップ優勝を目指していますから、個人的には得点に絡むようなプレーで貢献したいと考えています」

東京カップ制覇に向けて――東京カップ2次戦決勝、エリース東京FC戦は3月24日12:30キックオフ。南葛ファミリー全員で、2024年最初のタイトルを獲得しよう！

大会：2024年度 東京都社会人チャンピオンシップ 2次戦決勝
日時：2024年3月24日（日）12:30Kick off
対戦：南葛SC vs エリース東京FC
会場：赤羽スポーツの森公園競技場
配信：https://www.youtube.com/watch?v=Ik3vrFhI49s
※アーカイブは残りません。ライブ配信のみとなります。