2025/9/5 16:12
南葛SCのパートナーとして、チームとともに戦ってくれている企業をピックアップ。今回は、2025シーズンにパートナー契約を締結したFBモーゲージ株式会社を紹介します。営業担当の外山佳大(GK37)も同席の上、自身のキャリアや会社経営に際して大切にしていることを根石高宏代表取締役社長に聞きました。
写真=野口岳彦
FBモーゲージ株式会社は、住宅ローンの「フラット35」(※1)を専門的に扱う企業である。さまざまなサービスを手掛ける中、紹介取次、事務手続き代行をはじめとした“フラット35代理店事業”をその中心に据えている。
(※1)フラット35とは:民間金融機関と住宅金融支援機構が提携して提供する、最長35年の全期間固定金利の住宅ローン。返済終了までの借入金利と返済額が一定なので、長期に渡るライフプランが立てやすいことが特徴。
創業者である根石高宏代表取締役社長のキャリアは、実に興味深い。高校卒業後には、俳優を目指して地元・長野県から上京した。
「もともとは芝居がやりたかったんです。東京に出てきてからは、芝居をするための準備として、とにかく人間観察を続けました。例えば、一日中コーヒーショップに居座って、周辺のお客さんの会話に耳を傾けるんです。そして『こういう時、人はこういう会話をするのか』と、気づいたこと、見聞きしたことをたくさんメモしていました」
24歳の時に俳優の道を断念。プロダクションに就職し、演歌歌手のマネージャーを務めることになった。当時の経験は、経営者として活躍する現在にも大きな影響を与えている。
「NHK紅白歌合戦に出演した歌手の方にもつかせてもらいました。マネージャー業というのは、やはり総合職。今でも、『“お盆の手”になりなさい』と指導を受けたことをよく覚えています。タレント、スタッフ、お客様など、自分の手の上にあるお盆にはたくさんの人々がいる。マネージャーとして、そのお盆のバランスをきちんと取り続けることが大事であると学ばせてもらいました」
送迎、アイロンがけ、音合わせ、リハーサル、曲順確認、スケジュール調整、食事・移動・宿泊の手配、営業、金額交渉、金銭管理。多くの関係者との関わり合いを大切にしながら、裏方としてあらゆる業務に取り組んだ。
「これらすべてをやらせてもらえたことは、今の自分にとても生きています。経営を進める際にも、“マネージャー的な感覚”で物事を捉えられるようになりました。私にとって、FBモーゲージという会社は、ある意味で一人の歌手なんです。そして私が、歌手にとって最も身近な存在であるマネージャー。歌手を売り出していくために、どのようなイメージで、どのような曲を世の中にリリースしていくべきか。また、仮にある1曲をヒットさせられたとしても、1曲だけに頼って歌手活動を続けていくのはなかなか難しい。さまざまなスタイルの曲(=サービス)を出していくことが、歌手(=会社)の成長につながる。普段からこのような感覚で経営と向き合っています」
約4年にわたり、演歌歌手のマネージャーとして奮闘。その後、27歳の時に再び新たなステージに足を踏み入れる。経験値ゼロの状態で、マンション販売業者の営業に転身するのだ。
ベースにあったのは、顧客一人ひとりに寄り添い、お互いに長期的な信頼関係を築き合えるような仕事に就きたいという思い。そこで、顧客の住宅購入という大きな夢であり、大きな決断を営業という立場でサポートしようと考えたのだった。
「当時は、ありとあらゆる本を読み、ゼロから営業の基礎を勉強しました」
新天地で業務に没頭する中、冒頭で述べたフラット35という住宅ローンの存在を知る。
・毎月の返済額が変わらないから、生活設計が立てやすい。
・条件を満たしていれば、収入が安定しにくい自営業、個人事業主でも審査が可能。勤続年数や雇用形態も問われない。
「これならば、より多くのお客様の希望を叶えることができる」
フラット35の特徴や柔軟な仕組みに魅了された。その後、フラット35の代理店に転職。豊富な知識と的確な提案力で、数多くの顧客から信頼を寄せられるとともに、全国トップの営業成績をマークした。
そして35歳の時、さらなる成長と“顧客第一主義のサービスの確立”を誓い、独立を決意。2015年9月、埼玉県さいたま市を拠点に、FBモーゲージ株式会社を設立したのだった。
「“住宅ローン専門”というのはニッチなビジネスであり、その中でもフラット35の代理店でありながら、いろいろなサービスを展開しているというのは、おそらく弊社しかないと思います」
根石社長が語るとおり、FBモーゲージの事業領域は幅広い。フラット35代理店事業、住宅ローン媒介事業、ライフサポート事業、プロモーション事業。さらには、住宅ローン借り換えサービス、女性専門の住宅ローンサービスなど、顧客との接点は多岐に渡る。
「『お客様に対して、こういうサービスを提供できたらいいよね』というものを作って、世の中に発信したいと思っています。私自身も会社としても、相手にとって“いいこと”がしたい。同様に、長く愛される会社を作っていくために、私が常に口にしているのが『きれい事が経済合理性を生む』という言葉。不祥事や不正に対する風当たりが強い今の時代、きれい事を正しくできなければ世の中を生き抜いていくのは難しいと思っています。だからこそ、『きれい事を真っ当に、堂々とやろう』を社内の合言葉にしているんです」
“顧客第一主義のサービス”を徹底的に追求する姿勢は、趣味の話の中にも表れている。
「例えば、街を歩いている時に『このテナントが空いたら、こういうことができるのでは?』というように、いつも何かを考えているんです。アイデアを1日1個出すのは難しいですが、1週間に1、2個は思いつきます。圧倒的にボツのほうが多いながらも、現時点でたくさんのアイデアがたまってきました。『多くの人々に喜ばれるサービスとは何か?』。これを考えることが、今の私にとっては一番の趣味なのだと思います」
そして、こう続ける。
「世の中に喜ばれることをするのがサービス業であり、喜ばれた対価が我々のお金になります。よくスタッフに話しているのが、人の“縁”とお金の“円”の話。先に“円”を追いかけた人は、“縁”が逃げていく。一方、“縁”を追いかける人には、“円”がついてくる。私はそう信じています。だから、どちらを大切にするかで人生が変わってくるし、人と人のつながりは絶対に大事にすべきだと考えているんです」
FBモーゲージは、2025年で10期目を迎えた。順調に規模を拡大させられた時期もあれば、業界内におけるフラット35のシェア率低下に伴い、売り上げを大きく落とした時期もある。難しいタイミングの時こそ、根石社長は勝負に出た。
「数字が下降している時は、何か新しいことを生み出すのではなく、その状況のままステイする会社も少なくないと思います。でも私は、ステイせずに勝負に出ました。同業他社の動きが止まっていたとしても、我々は逆張りし、フラット35に続く新たな仕掛けを打っていこうと取り組んだんです」
世界中がステイせざるを得なかったコロナ禍でも、根石社長の発想力と行動力により、FBモーゲージは動きを止めなかった。2020年11月には、埼玉県川越市に屋外3面のフットサルコート「FBモーゲージスタジアム」をオープン。またこの頃から、FBモーゲージは社会貢献活動を本格的にスタートさせており、2021年10月に立ち上げた「未来を明るくする子どもたちプロジェクト『FBMキッズ』」(※2)もその一つに含まれる。
(※2)FBMキッズとは:埼玉の幼稚園・保育園に通う子どもたちに、トップアスリートとのふれあいから、走ることやボールを蹴ること、ボールを投げること、そしてジャンプをすることなど、体を動かす楽しさを学んでもらう企画。
「大人はもちろん、子どもたちもみんなマスクをしていましたし、幼稚園や保育園でも昼食中にしゃべってはいけない、と。こんなにかわいそうなことはないと思ったんです。だから、記憶に残るようないい思い出を作ってもらうために、『FBMキッズ』というプロジェクトを立ち上げました。本社のある埼玉県では浦和レッズが有名で、元浦和の選手のことは親世代もよく知っている。そこで、岡野雅行さんや坪井慶介さんにコーチとして参加してもらったんです。『あのコーチはすごい選手だったんだよ』というふうに、自宅での親子の会話につながってくれていたら、我々としてもうれしい限りです」
「FBMキッズ」では“野人コーチ”として親しまれているという岡野事業本部長。根石社長と彼の“縁”が、2025年、FBモーゲージと南葛SCを結びつけることになる。
根石社長自身、子どもの頃からスポーツが好きだった。サッカーを筆頭に、野球やバスケットボールも楽しんだという。
「映画やライブを見るのが趣味という人がいるように、私はサッカー観戦が好きなんです。90分間のドラマを見ているというか、スタジアムでリアリティーショーを見させてもらっている感覚に近い気がします」
勝敗に関わらず、“90分間のドラマ”を演出する選手たちを心からリスペクトしている。だからこそ、オフ・ザ・ピッチで苦労するアスリートの力になりたいと思い続けてきた。
「アスリートの中には、住宅購入のローンを組む際に、勤続年数や雇用形態の面で苦戦している方も少なくありません。そういった部分も含め、できるだけサポートしていきたいと考えています」
2020年からは「“サッカー業界専門”の住宅ローン」を推進するとともに、住宅ローンのファイナンスとアスリートを組み合わせたビジネスなども手掛けた。2024年には、根石社長自身が一般社団法人日本アスリート支援協会の代表理事に就任。アスリートを取り巻く環境改善やセカンドキャリアの問題など、さまざまなテーマと日々向き合っている。
先述のとおり、南葛SCとの出会いは岡野事業本部長との“縁”がきっかけだった。
「サッカーを中心に、もちろんチケットを購入してスポーツの試合会場に行くこともあります。一方で、社内のスタッフが頑張って売り上げを立ててくれているおかげで、今回は南葛SCとのパートナー契約を結ぶことができました。一ファンとしてスタジアムに足を運ぶのとはまた違い、クラブをサポートしながら、より近いところで南葛SCが表現するドラマを見ることができる。本当にありがたいことです」
『キャプテン翼』は小学生の頃から親しんできた。好きなキャラクターについては、「“クールなタイプ”が好きなので岬太郎と言いたいところですが、一人挙げるならば日向小次郎ですね」と言う。その理由を聞くと、難しいタイミングの時こそ勝負に出て、攻めの姿勢を貫いてきた根石社長らしい言葉が返ってきた。
「何よりも、あの“攻める姿”が格好いいじゃないですか」
就任2年目を迎えた風間八宏監督の下、南葛SCも攻めの姿勢を大切にしながら、日々トレーニングを積んでいる。
「指揮を執るのは風間監督というトップレベルの方であり、そういう指導者の下でサッカーができる選手はとてもうらやましい。日本代表を経験した今野(泰幸)選手も所属していますし、大前(元紀)選手もいる。個人的に、大前選手のことは清水エスパルスでプレーしていた頃から大好きなんです。またサッカー面とともに、まるでお祭りのような試合前のイベントも素敵ですよね。地元の相撲部屋をはじめ、地域全体を巻き込んだあの取り組みも、引き続き楽しみにしたいと思っています」
サッカーも経営も“攻めの姿勢”を貫いていく――どれほど困難な状況を迎えても、セオリーでは守りに入るような時間帯でも、自分たちの姿勢を変えることはない。FBモーゲージも南葛SCも、攻めの姿勢を大切にしながら、それぞれの分野でお互いに切磋琢磨を続けていく。
【会社概要】
[商号]FBモーゲージ株式会社
[所在地]
本社:〒330-0854 埼玉県さいたま市大宮区桜木町4丁目241番地2 2F TEL 048-658-3535
東京支社:〒121-0813 東京都足立区竹の塚6-11-12 八汐ビル1F TEL 03-3850-1225
[代表者]代表取締役社長 根石高宏
[設立]2015年9月1日
[資本金]9,800,000円
[売上高]350,000,000円(2024年6月)
[従業員数]25名(2024年6月)
[業務内容]フラット35代理店事業、住宅ローン媒介事業、ライフサポート事業、プロモーション事業