2023シーズンにおける公式戦10試合目。ベテラン勢と大卒新人たちによる相互理解の高まりが、ピッチ内で随所に見られるようになってきた。
　
　左サイドでは下平匠と野村海が、右サイドでは関口訓充と佐々木達也が、縦関係のコンビネーションで多彩な攻撃を仕掛けていく。最前線では、大前元紀と奥原零偉の2トップが果敢にゴールへと迫っていった。
　
　多様な実績を誇る選手たちと、若さや勢いを備えた新加入選手たち。それぞれがお互いの良さを引き出し合いながら、両サイドから、さらには中央から、時間を追うごとにチャンスの数を増やしていった。だが、思うように相手ゴールをこじ開けられずにいると、76分にFKを直接蹴り込まれて先制を許してしまう。
　
　0-1のまま迎えた残り5分。高木健旨監督は、こちらも大卒組の一人、横須賀郁哉をピッチへ送り出す。その直後、関口からのパスを左サイドで受けた横須賀は、軽やかなボールコントロールから、ファーストプレーでフィニッシュまで持ち込んだ。右足インフロントでファーサイドを狙ったシュートは、GKの手をかすめたものの、ポストに当たって跳ね返る。そのボールに誰よりも早く反応したのが河本明人だった。ベテランFWは瞬時に体を前方へと投げ出し、ダイビングヘッドでこぼれ球を押し込んで同点ゴールをマークした。
　
　チーム内の連係力は着実に向上していると言っていい。同時に、試合の締めくくり方には、引き続き成長の余地があることを感じさせた。前期1節、2節に続く、今シーズン2度目のリーグ戦連敗。南葛SCは9位からの巻き返しを図ることになった。